デザインの「学ぶ」は「真似ぶ」こと
デザインを制作する上で重要な事、それは事前に「他のデザイナー達が作ったデザインを研究する(インプット)」という事です。
「デザイン制作の経験が浅い人、納期に追われている人、自分に漠然とした自信がある人」
そのような人達はデザインの完成イメージをボンヤリとしか持っていないのに、事前のインプットを省略して「とりあえず…」とデザイン制作を開始してしまう事があります。
結果、完成したデザインが「ターゲットに伝えたい事がぼやけている。完成度が低い。」といったような仕上りになってしまい、修正作業が続いて無駄に時間だけが過ぎてしまったり、上司に突き返されてしまったりします。
「これが間違いない正解のデザイン!」といった完璧な答えはデザインにはありませんが「答えに限りなく近いデザイン」というのは大抵世の中に既に出ているものです。
「食べ物を扱うデザインはこういう見せ方、洋服を扱うデザインはこういう見せ方…」といった感じで。
そのような答えに近い既存デザインを参考にせず、自分の頭の中にあるだけのイメージでデザインを制作してしまうと「伝えたい事が不明瞭、完成度の低いデザイン」になりがちです。
例えば百戦錬磨の熟練デザイナーでも
●美容にも手を抜かないキャリアウーマンをターゲットにしたお菓子のサイト
●マイルドヤンキーと言われるような男性をターゲットにした洋服のサイト
●シニアの富裕層をターゲットにした家具販売サイト
等々、多岐にわたるターゲット全ての心を動かせるような「デザインの見せ方」を頭の引き出しに入れているのではありません。
その都度「このターゲットが好むのはこういうデザインで見せ方や配色はこう、写真やコピーの扱い方はこうだろう」と事前調査するもので、その時にはやはり「世の中に出ているデザイン」を参考にしています。
それにより自分の頭の中にあった情報・イメージだけでは作れなかったデザインを作り上げているのです。
「学ぶ」という言葉は「真似ぶ」が語源だとも言われています。
職人は道具の使い方から全て師匠のやり方を真似して覚えます。スポーツ選手は過去のトッププレイヤーの体の動かし方を模倣します。将棋の名人は過去の対局の棋譜を徹底的に研究します。
どのジャンルでも皆、真似して学んで「一流」を目指していくものでデザインだけ「自分のセンスのみで勝負!」ができるほど甘い世界ではないのです。
世の中に出ている広告はほとんどが第一線で活躍するデザイナーが作っています、そんな一流の仕事術を学んで自分に取り入れる事はとても大切です。
さて、突然ですがこの状況をイメージしてみてください。
会社に行くと営業さんがあなたに相談にきました「火星の会社と契約する事になっちゃった!とりあえず火星人に向けたバナー広告を作ってくれ!」
こんな時あなたはどのようにしてバナー広告を作り始めますか?
きっと「火星人の好みがわからない!そもそも地球のデザインが通用するの?火星人がいつも見ているバナーを参考に見せてくれ」と営業さんに文句を言うと思います。
極端な話のようですが、実は全てのデザインはこれと同じ。
ターゲットの事を理解したつもり、自分の頭の中にあるイメージだけで通用する、そう思ってデザインを制作する事はとてもリスクが大きいことなんです。
勿論デザインやアイデアをそっくりそのまま盗用することは駄目ですが、過去の一流の仕事から学ぶ事はとても重要です。
「最近、壁に当たってしまって…」とお悩みのデザイナーさん、今日から「真似して学ぶ!」を徹底していくとか意外と簡単にその壁を超えられるかもしれませんよ。